P25-30 : RNA干渉によるミカンキジラミ共生関連遺伝子の発現抑制
Posted On 20 10月 2014
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1豊橋技科大, 2, 3, ,
ミカンキジラミ (Diaphorina citri) は、カンキツグリーニング病を媒介する、世界的に重要な農業害虫である。本種は腹部体腔内に「bacteriome」と呼ばれる共生器官を持ち、この細胞内に、世代を超えて垂直感染を繰り返す2種類の共生細菌Candidatus Carsonella ruddii (Gammaproteobacteria)及びCandidatus Profftella armatura (Betaproteobacteria)を保有している。当研究室の先行研究により、これら共生細菌のゲノムは極端に縮小し、細菌の生存に必須と思われる多くの遺伝子を失っていることが明らかとなった。また、共生系を支える宿主の役割を解明するべく、bacteriomeのトランスクリプトーム解析を行ったところ、bacteriome特異的に転写の亢進した多数の機能未知遺伝子群が見出された。本研究では、その一つであるDcitri_1の機能解析を目指し、RNA干渉法による当該遺伝子の発現抑制を試みた。Dcitri_1と相補的な配列を含むdsRNAを合成し、塗布法により5齢幼虫に投与した後、定量RT-PCRにより転写産物量を定量した。校正にはRpL_7遺伝子を用いた。その結果、処理後24時間と48時間において、dsRNA処理群では、対照群と比べて有意に相対発現レベルが低下していることが示された(t検定、p < 0.01)。このことから、RNA干渉によるDcitri_1の発現抑制が有効である旨確認された。本大会では、キジラミの発生段階ごとのDcitri_1の発現レベルについても報告する。
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