P23-8 : 土壌の保存条件が各種土壌酵素の活性と添加有機物からの窒素の無機化に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1中央農業総合研究センター, 2長崎県農林技術開発センター, 3, ,
【目的】有機物を施用して作物の窒素源にする場合、土壌環境によって有機物分解に関わる土壌酵素活性等が異なり、有機物からの窒素無機化に差が生ずる可能性が考えられる。土壌環境が酵素活性に与える影響については、活性測定までの土壌試料の保存条件が測定結果に及ぼす影響を知る上でも明らかにする必要がある。本試験では、有機物施用前まで様々な温度・水分条件で土壌を保存し、各種土壌酵素活性と施用有機物からの窒素無機化を調べた。
【方法】中央農研内の窒素肥沃度が異なる2圃場より土壌を採取し、-20℃、4℃、30℃、50℃で保存する区、-20℃で週1回融解する区、常温で風乾する区を設けた。各条件で4週間保存した土壌について、各種酵素活性を測定した。また、これら土壌を20 gずつ取り、10 mg N相当の米ぬか添加の有無を変えて畑状態で培養(30℃)し、0、4週間後に無機態窒素を調べた。
【結果・考察】土壌のβ,α-グルコシダーゼ、デヒドロゲナーゼ等の活性は、50℃処理と風乾で低下したが、他処理では保存前と同等であった。ZFL-プロテアーゼには、各処理で活性低下がみられない一方、BAAやカゼインを基質としたプロテアーゼでは、50℃と風乾の他、-20℃(週1回融解)区で活性が低下した。ホスファターゼ活性は50℃で上昇したが、他処理では保存前と同等であった。米ぬか添加で4週間培養したところ、50℃処理した土壌では窒素無機化率が低かった。以上より、50℃処理で多くの酵素活性が低下し、米ぬかからの窒素無機化が遅くなること、風乾で多くの土壌酵素活性が低下するものの、窒素無機化は保存前の土壌と差がないことが示された。
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