P21-4 : マルチプレックスリアルタイムRT-PCR法による天然海水・海底泥からの有害渦鞭毛藻感染性ウイルスHcRNAVの定量
Posted On 20 10月 2014
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1(独)水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所, 2, 3, ,
有害渦鞭毛藻ヘテロカプサによる赤潮の終息には、1本鎖RNAウイルス(HcRNAV)の感染が重要な影響を与えている可能性が示唆されており、演者らは、ウイルスの高い複製能や宿主特異性を利用した生物学的赤潮防除法として「HcRNAVを含む天然海底泥の利用」を検討中である。同法の最適化には、高精度かつ迅速なウイルス定量技術が不可欠であるが、従来法では、測定対象が一部の株特異的なHcRNAV数に限定されること、測定に1 週間以上を要するなどの問題があった。そこで、本ウイルスに特異的な測定系を開発し、散布したHcRNAVの効果の検証や現場環境での持続的測定への適用を目指すこととした。昨年度までに、HcRNAVの複製酵素遺伝子およびカプシドタンパク質遺伝子の2領域に対してそれぞれ特異的なプライマーとプローブセットを設計し、マルチプレックスリアルタイムRT-PCR法によるHcRNAVに特異的な測定系を開発した。本発表では、本測定系の現場環境中における全HcRNAVの定量を目指し、天然海水や海底泥からのHcRNAV抽出法から定量について検討した結果を報告する。さらに、過去の研究より、HcRNAVが3つの感染タイプに大別されてきたことから、それらの代表株(HcRNAV34, 109, 659)の特異的塩基配列に基づいてプライマー・プローブセットを作成した。これを用いてタイプ別の定量系の開発を行い、天然海水や海底泥からのタイプ別定量について検討した結果についても報告する。
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