P21-5 : 西部北太平洋亜寒帯・亜熱帯における細菌群集の時空間変動
Posted On 20 10月 2014
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1東京大学 大気海洋研究所, 2JAMSTEC, 3, ,
水塊構造や生態系の大きく異なる西部北太平洋の亜寒帯観測点K2と亜熱帯観測点S1における細菌群集の時空間的動態の解明を目的とし、GS FLX Titanium (Roche)を用いた16S rRNA遺伝子解析を行った。
2010-2011年に実施された海洋地球研究船「みらい」による西部北太平洋の時系列観測において、水深0, 300, 1000, 2000, 5000 mの5深度から海水を採取した。採取した海水は、孔径3.0と0.22μmフィルターを用いてろ過し、沈降粒子に付着している微生物 (≥ 3μm, 付着画分)とそれ以外の自由生活している微生物(0.22-3μm, 自由生活画分)に分画した。細菌細胞が捕集されたフィルターから抽出した全ゲノムDNAを鋳型として細菌16S rRNA遺伝子の可変領域V1-V3のPCR増幅を行った後、塩基配列を決定した。
得られた16S rRNA遺伝子配列の系統解析を行ったところ、水深が深くなるに従ってDeltaproteobacteria、Deferribacterares、Planctomycetesに属する未培養系統群の存在割合が多くなる傾向が見られた。また、細菌群集構造の類似性 (クラスター解析、主成分分析)と種多様性 (Chao1、Simpson indexなど)を調べたところ、深海においても細菌群集構造は意外に大きな季節変動を示すことが本研究により初めて明らかとなった。とりわけ、沈降粒子に付着している細菌群集の変動が顕著であったことから、深海の細菌群集は沈降粒子の量や質の変動と連動して変化しているのではないかと考えられる。
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