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O35-01 : 接合菌類および子嚢菌類における菌類内生バクテリアの検出率について
Posted On 20 10月 2014
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1農工大院・連合農学, 2筑波大・菅平高原実験センター, 3茨城大・農, ,
近年、菌類において宿主の形態や病原性に影響を及ぼす“菌類内生バクテリア”の存在が報告されており、宿主となる菌類の分類や生活様式に影響を与える可能性が示唆されている。しかし同領域における研究は始まったばかりであり、菌類内生バクテリアのスクリーニングは、接合菌類や子嚢菌類といった分類群ごとに行われ、その存在の有無も十分に議論されていない。そこで、本研究では、接合菌類および子嚢菌類に対して、同一条件下において、菌類内生バクテリアのスクリーニングを行い、その検出率を比較し、内生バクテリアの存在を明らかにすることを目的とした。 接合菌類84菌株(16属)および子嚢菌類109菌株(45属)を供試菌株とした。Nutrient Broth液体培地において容易に培養可能なバクテリアがいないことを確認した供試菌株の菌糸体よりDNAを抽出し、バクテリア16S rDNAを標的としたプライマー10F-907Rを用いたPCRにより内生バクテリアの検出を行った。また、LIVE/DEAD® BacLight™ Bacterial Viability Kitsを用いて菌糸体内のバクテリアを染色・観察することで内生バクテリアの存在を確認した。PCRの結果、接合菌類10%(9菌株)からのみPCR増幅を確認できた。内生バクテリアが検出された9菌株のうち7菌株を任意に選び観察した結果、そのすべてにおいて菌糸内にバクテリア様構造物が観察できた。 以上より、少なくとも、本実験で用いた手法では、菌類内生バクテリアは子嚢菌類に比べ、接合菌類において高頻度に検出されることが示された。
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