P25-22 : アーバスキュラー菌根菌の内生菌糸と外生菌糸のRNA-seq解析
Posted On 20 10月 2014
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1信州大・農, 2基礎生物学研究所, 3北海道大・院農学院, ,
アーバスキュラー菌根菌(AM菌)は植物根に感染し植物と共生関係を結ぶ菌類である。AM菌は土壌中に外生菌糸を広げる一方で、植物根内では養分交換の器官である樹枝状体を含む内生菌糸を形成する。外生菌糸と内生菌糸では生理的特徴が異なることがNMR等の解析から明らかになっていが、その詳細についてはほとんど分かっていない。本研究では、AM菌Rhizophagus irregularisのゲノム情報を利用し、外生菌糸と内生菌糸のRNA-seq解析を行い、遺伝子発現プロファイルの比較を行った。
ミヤコグサにR. irregularis DAOM197198を接種し、菌根と外生菌糸を調製した。RNA抽出後cDNAライブラリーを作製し、Illumina HiSeq2000でシークエンシングを行った。菌根から得られたリードのうち20%はAM菌のゲノムにマップされ、59%がミヤコグサのゲノムにマップされた。AM菌ゲノムにマップされたリードを内生菌糸(IRM)由来の配列とした。一方外生菌糸(ERM)では、75%がAM菌ゲノムにマップされ、6%が植物ゲノムにマップされた。IRMとERMで発現量が有意に異なる遺伝子は全30,282遺伝子中2,998遺伝子(10%)であった(FDR < 0.001)。発現変動遺伝子の機能を推定するためにアノテーションを行ったが、2,998遺伝子中59%はアノテーションが付かず、大部分は機能未知の遺伝子であった。IRMでは糖新生や脂肪酸合成、キチン合成、アミノ酸分解に関わる遺伝子が誘導されており、ERMでは、アルギニン合成に関わる遺伝子が誘導されていた。
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