「生態理論ことはじめ」(2016年3月4日東大・本郷)参加報告
鈴木翔太郎(東京大学大気海洋研究所)
本研究集会は、微生物学分野だけでなく、マクロ生態学や理論生態学を専門とする研究者や学生が”生態理論”というキーワードで意見交換・討論する会になっています。私は、昨年の研究集会『微生物生態理論に期待される可能性』につづき、二回目の参加でした。前回は微生物生態学に対してどのような生態理論を当てはめるか?もしくは可能か?といった内容についてディスカッションしましたが、今回は一部の参加者が話題を提供して、実際に理論を適用した話や理論自体の話を中心にディスカッションしました。研究集会前半は理論、特にネットワーク理論についての話題が中心でした。個人的に苦手意識のあったネットワーク理論でしたが、今回のディスカッションでスッキリした部分も多く、自分の研究でもトライしてみようと思いました。研究集会の後半はフィールドや実験のデータを生態理論に当てはめた話題や、今考えている概念などの話題についてディスカッションを行いました。私は、海洋細菌からの視点という話題で、修士1年から参加している太平洋の縦断及び横断航海で得た微生物群集のサンプルを解析し、得られた多様性の鉛直パターンについて生態理論を当てはめた内容を話題提供しました。無理矢理当てはめたこともあって、あまり自信がありませんでしたが、参加者の皆さんから建設的なコメントを頂くことができ、次のステップへの見通しを得ることができました。
研究集会の後も場所を変えて、語りつくせなかった話の続きや、生態理論に関する話だけでなく研究の話や研究を取り巻く環境の話などを語り合いました。本音も交えながら楽しく多くの参加者と交流を深めることができました。
個人的に微生物の多様性や群集構造のデータの解釈にとても苦しんでいましたが、この研究集会に参加したことで解釈の糸口が見えました。