海底マンガン鉱床の地球科学
丸山明彦会員が著者の一人である書籍「海底マンガン鉱床の地球科学」が出版されました。
海底のマンガン鉱床は、現世の海洋底に広範囲かつ大量に分布し,現在も成長しつづける貴重なレアメタル資源です。マンガン鉱床は海洋での物質循環に重要な役割を果たすと同時に、地球環境の変遷を記録しています。本書では地質学・資源学・地球化学・微生物学などからその実像を明らかにしています。微生物は酸化還元等の反応を通じて、さまざまな金属元素の循環にも影響をおよぼしていると考えられていますが、第5章では特にマンガンや鉄などの金属の循環に関わる微生物について説明されている数少ない日本語の教科書です。
著者:臼井 朗, 高橋 嘉夫, 伊藤 孝, 丸山 明彦, 鈴木 勝彦
ISBN978-4-13-062722-1, 発売日:2015年02月下旬, 判型:A5, 264頁
出版元URL: http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-062722-1.html
主要目次
はしがき
第1章 海底鉱物資源としてのマンガン鉱床
1.1 地質活動が生む多様な鉱物資源
1.2 化学堆積岩としての鉄・マンガン酸化物
1.3 マンガンクラスト,団塊の分布概要
1.4 金属鉱床としての意義
1.5 研究と探査の歴史
1.6 調査・分析技術の進歩
第2章 海底マンガン鉱床の分布・性状
2.1 多様性の概要
2.2 形態・構造・産状
2.3 空間分布概要
2.4 鉱物の多様性
2.5 化学組成と形態
2.6 生成年代,成長速度,成長史
第3章 海底マンガン鉱床の生成環境
3.1 海洋の物質循環が生み出すマンガン鉱床
3.2 資源形成と地質構造
3.3 環境記録としてのマンガン鉱床
第4章 海洋の鉄・マンガン酸化物の地球化学
4.1 表層水圏におけるマンガンと鉄の挙動とクラスト・団塊の形成
4.2 マンガンクラスト,団塊の起源,鉱物組成とMn/Fe比
4.3 マンガンクラスト,団塊の化学組成
4.4 酸化物への親和性から見た元素の分配比
4.5 鉄・マンガン酸化物中の安定同位体比の変動
4.6 まとめ
第5章 マンガン酸化物形成に関与する微生物活動
5.1 マンガンと生命活動
5.2 生物学的マンガン酸化とエネルギー獲得系
5.3 生物学的マンガン酸化の多様な形態
5.4 環境によって異なる微生物の関与
第6章 地球環境変遷史とマンガン鉱床の形成
6.1 マンガン鉱床の成因
6.2 地質時代のマンガン鉱床の年代決定法
6.3 地球史・海洋変遷史とマンガン鉱床の形成
6.4 まとめ
補遺 酸化還元反応
あとがき/引用文献/索引