2023年日本微生物生態学会 高校生ポスター発表会 報告
日本微生物生態学会第36回大会において、2023年11月29日に開催された高校生による研究ポスター発表会を企画運営しました。11月末と遅い時期の開催でしたが、7校から24名の高校生が参加し、14演題の発表が行われました。1–2年生(19名)によるスタートしたばかりの研究や3年生による長期間に及ぶ研究の成果など多様な研究発表が揃いました。会場では、終始熱い議論が繰り広げられました。立候補いただきました学会本会員で構成される審査員に加えて、多数のポスドク研究員や博士課程の皆さんに若手審査員としてご協力頂きました。ポスター会場は熱い議論で賑わっていました。
<<演題と発表者>>
☆は審査員からのコメントです
*最優秀賞* HS_P12 棲息地の環境要因を通じて陸生クマムシの生存戦略を明らかにする
溝口 元気 (芝高等学校)
☆自らの好奇心が研究の原動力となり、精緻な調査とデータ整理がなされている
== 最優秀賞受賞者の声==
顕微鏡下の姿は可愛らしいのに「世界最強の生物」と言われるクマムシの生存戦略に関心を持ちました。そこで、棲息地内の生態系への環境要因を実証調査により評価し、固有の耐性との関係を明らかにしたいと考えました。当初は、都心で安全かつ継続的に棲息調査地を確保することに苦慮しました。しかし、様々な支援により約15ヶ月の調査を続けることができ、四季を通じたプロファイルが可能となりました。初めての学会では、緊張以上に楽しさを経験させて頂き感謝申し上げます。多くのご質問を頂き意見交換を対面で行えたことで、研究の精度を向上させるヒントや方向性を学べる一日となりました。この経験を今後の研究に活かし精進する所存です。
*優秀賞* HS_P8 人工知能画像処理技術に基づく放線菌の探索方法
鬼頭紬・最勝寺 泉紀・一真帆 (三田国際学園高等学校)
☆最新の技術を用いて実験の効率化を目指すトレンド感のある研究
*優秀賞* HS_P14 Pseudomonas属菌の光受容による気泡発生についての探索的研究
兼平 修汰 (東京学芸大学附属高等学校)
☆実験中の気付きから研究を発展させており、研究視点が優れている
HS_P1 酸性雨から地球を守る微生物の活動
大西 杜有子 (お茶の水女子大学附属高等学校)
HS_P2 産膜酵母の肥料化
草野 良佳 (横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)
HS_P3 松脂が藻と環境に与える影響
長谷川 莉里香 (横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校)
HS_P4 大貫谷公園微生物群集発見捕獲大作戦 その6 ー土壌に観られた真核微生物は鉱物の鎧をまとっている
三宅 鴻太郎・久喜 若奈 (学校法人 星槎 星槎高等学校)
HS_P5 磁性細菌の習性を持つ放線菌に関する研究
倉橋 佳希・飯田直生・柴山 涼月 (三田国際学園高等学校)
HS_P6 ミドリムシとの共培養による放線菌の新規化合物の探索
早田茂・王新智・藤田 謙心 (三田国際学園高等学校)
HS_P7 放線菌への光刺激による新規化合物の探索
久保 理暖・諸我 桜子・梁取 邦雄 (三田国際学園高等学校)
HS_P9 フラクトオリゴ糖で増加する短鎖脂肪酸生産菌の培養と検出
竹内 愛惺・川口 秀翔・林 寛人 (山村学園 山村国際高等学校)
HS_P10 カカオポリフェノールの経口摂取によるヘアレスマウスの日焼け予防効果
塩田 はな (山村学園 山村国際高等学校)
HS_P11 ペーパーディスク法によるハンドソープの手指細菌におよぼす抗菌効果
宮﨑 萌衣 (山村学園 山村国際高等学校)
HS_P13 シマミミズの油分に対する摂食行動と土壌中細菌の関係の探究
陳志宇 (東京学芸大学附属高等学校)