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海洋細菌で見つけた新しい光エネルギー利用機構 -塩化物イオンを輸送するポンプの発見- (PNAS, 2014年3月)

地球上のあらゆる生物はごく一部の例外を除けば太陽光のエネルギーに依存しています。しかしながら、太陽光をエネルギー源として利用する生物の全貌は実は良く分かっていません。近年、光が当たると細胞内から水素イオン(H+)を排出する光受容タンパク質(プロテオロドプシン)が海洋微生物から見つかり、クロロフィルを利用する光合成とは異なる光エネルギー利用機構として非常に注目されています。 これまで太陽の光エネルギーを利用している海洋生物は、クロロフィルを持つ光合成生物(植物プランクトンや植物)との考えが常識でした。しかし、10年ほど前にプロテオロドプシン(PR)と呼ばれるロドプシ
Posted On 26 3月 2014
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CO2地中貯留がもたらす地下微生物生態系への影響を解明 - CO2地中貯留技術の実現に新たな一歩 - (Nat. Comm. 2013年6月)

研究の背景 温室効果ガスとして知られるCO2の削減策の一つとして、CO2回収・貯留(CCS)技術があります。枯渇油田は、CO2の貯留サイトとして古くから実用性が検討されてきました。一方で、枯渇油田には活発にメタンを生成する微生物生態系が広く存在しています。このような微生物生態系は枯渇油田に残存する原油をメタン(天然ガス)にまで分解しており、この働きを活用できればエネルギー資源問題の解決にも役立つものと期待されています。 しかし、これまでのCO2地中貯留実証試験では、CO2が圧入されることで地下の微生物生態系がどのような影響を受けるのか不明でした。 今回の研究で新た
Posted On 13 6月 2013
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微生物によってN2Oの発生を削減することに初めて成功!(Nature Climate Change誌2013年3月)

研究の背景 大気中の一酸化二窒素(N2O)は増加し続けています。このN2Oは、二酸化炭素の約300倍の温室効果を有するだけでなく、深刻な地球環境問題であるオゾン層破壊の原因物質でもあります。N2Oの主要な発生源は農業で、世界の人為的発生源の60%を占めています。このため、農耕地から発生するN2Oを削減する技術の開発が切望されています。 ダイズには、細菌の一種である根粒菌が共生し、根に根粒という共生組織を形成しています。この根粒菌は、空気中の窒素を、植物が利用できる形態に変換しています。 以前、東北大チームは、N2Oを窒素(N2)に還元する酵素(N2O還元酵素)を持
Posted On 14 3月 2013
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16S rRNA遺伝子だけで微生物群集の機能が推測できる! (Nature Communications誌2012年11月)

概要 地球上のありとあらゆる場所に微生物は棲息しています。しかしながら、それぞれの場所にどのような微生物がいて、どういう活動をして生きているかは謎に満ちています。ある環境中のすべての微生物のDNAを解析するメタゲノム解析は、その謎を解くための技術として注目される最新の解析手段なのですが、現在のところ誰でも簡単に利用できるというところにまでには至っていません。このメタゲノム解析を簡単に、かつコストをかけずに行うのがバーチャルメタゲノム法で、我々のグループが世界で初めてその開発に成功しました。この手法のキーになるアイデアは、ゲノム配列が決まった生物種の数が近年爆発的に
Posted On 13 11月 2012