書籍紹介「海とヒトの関係学④ 疫病と海」
教育部会員である 愛媛大学沿岸環境科学研究センター 鈴木 聡 先生が分担執筆されている著書が出版されました。鈴木先生は3章6の環境耐性菌の章を分担されています。
「海とヒトの関係学④ 疫病と海」
秋道智彌・角南篤 [編著]
西日本出版社、ISBN 978-4-908443-59-6
2020年2月刊行、1,600円+税
<はじめに>
疫病の海洋人類史
<第1章 疫病の人類史>
1.感染症の人類史
2.ラパヌイ(イースター島)の歴史を引き裂いたウイルス感染症
3.カナダ先住民の疫病との闘い 北西海岸地域のハイダと極北地域のイヌイット
<第2章 疫病と海運>
4.クルーズ船と感染症
<第3章 水産物・海洋生態系をとりまく疫病と汚染>
5.いま持続可能な水産業の実現に向けて
6.養殖の死角 水環境に蓄積される薬剤耐性遺伝子
<第4章 疫病を封じ込める>
7.十九世紀前期の日本北方における感染症対策 天然痘とアイヌの関わりから
8.江戸時代における疫病の水際対策
9.水際作戦の歴史 明治日本の海港検疫
<第5章 疫病からの再生>
10.孤島の風土病
11.パンデミックがもたらす新たな国際安全保障
12.ヒトをつなぐための海
<おわりに>
「ブルー・リカバリー」に向けて 角南篤
~~~分担著者(鈴木聡先生)から~~~
日本は島国なので,歴史的には感染症は海(海運)から入ってきている。近代では航空機も大きな出入り口となっているが,新大陸への梅毒や天然痘持ち込み,COVID-19でのクルーズ船の役割などでもわかるように,パンデミックでの海の役割はまだ大きい。本書は,疫病の人類史,海運と感染症,歴史的に見た日本のエンデミックなどを例として,歴史学,社会学的視点から感染症を論じている。その中で,海の環境や生物が介在する疫病として薬剤耐性菌問題,環境ホルモンの高次生物影響もとりあげて問題提起をしている。感染症は医学的視点で考えるケースが多いが,ちょっと違う観点から雑学としての知識を得るのに役立つ一冊である。
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