識ることは楽しく人生を豊かにする
会長 二又裕之
夜の海を満月が一筋の光で照らしている。そんな景色を見たくて、夜の山道を抜けて海が見える頂に出た。ふと気が付けば、スボンの裾は泥で汚れているし、腕にはいつの間にか擦り傷ができている。冷静考えれば、夜の山道を駆け抜けるのは、なかなかに危ないことだった。蛇に噛まれるかもしれないし、足を滑らせて転げ落ちるかも知れなかった。そういうことが気にならなかった訳ではないものの、自分の中のワクワク感の方が遥に大きかった。そもそも、満月で夜の海が一筋の光で照らされることってあるのだろうか。本当は、そのことを確認したかっただけなのかもしれない。そして本当にそんな景色を目の間にしたら、きっと自分はものすごく幸せな気分になれるだろう、という一連の想いのワクワク感が夜の山道を駆け抜けた原動力、だと思うのです。識るというプロセスは大変だけど楽しいものだし人生を豊かにする。知識だけではなく想いにもまた土台があり、積み重ねと融合によって独創性が生じ、それらは次の土台になっていく。Enjoy science、この言葉を聞いた時、単純に訳してしまった私は「楽しんでいいの?」と衝撃を受けつつも、解放された気持ちにもなりました。ワクワク感があれば続けることができ、自分と研究を拡げ深めることに繋がっていくでしょう。