微生物生態学会 33巻2号 ハイライト

総説 ベシクルから視えてくる細菌間相互作用の姿  豊福 雅典,森永 花菜,安田まり奈,野村 暢彦 単細胞生物である細菌の研究が進むにつれ,多細胞生物とは異なった独自で多様な生存戦略を持っており,考えられていたよりも細菌は“賢い”ことや我々の予想以上にダイナミックな生活環を送っていることが明らかとなっている。動物細胞におけるエクソソームに類似した,細胞外に膜で構成される微小粒子(メンブレンベシクル:MV)を細菌も放出していることが50年以上も前から明らかとなっている。細菌が放出するメンブレンベシクルの機能が次々と解明される一方で,一番根本的なMVの形成機構については

微生物生態学会 33巻1号 ハイライト

リサーチ最前線(環境微生物系学会合同大会2017の優秀ポスター賞受賞者からエディターズチョイス) 植生回復が進む三宅島2000 年噴火後の土壌形成過程における微生物学的解析  海老原諒子(茨城大学) 東京の南に位置する火山島である三宅島では,2000年の大噴火で大量の火山灰堆積物が放出され噴火前の生態系は埋没した。土壌形成過程において植物は光合成産物の供給源となり,土壌の有機物蓄積に寄与することから,三宅島の植生回復は火山灰堆積物中の微生物生態系に影響を及ぼすと考えられる。調査地の中で植生回復が著しい地点では,火山灰堆積物上の土壌A層の形成が確認された。植生回復が