2015バイオフィルム研究部会定例勉強会開催のお知らせ
バイオフィルム研究部会では、日本微生物生態学会第30回大会において下記要領で定例勉強会を開催いたします(本年度は講演会形式で行います)。最新のバイオフィルム研究について参加者の方々の間で心行くまで討議していただけます。どなたでも参加は自由ですので、ぜひご来聴ください。
日時: 10月18日(日)18:30~20:00
場所: 土浦市亀城プラザ大会議室1(日本微生物生態学会第30回大会 第2会場)
バイオフィルムに見られる規則性— イオンの動態に関して —
立命館大学大学院生命科学研究科
森崎久雄
バイオフィルムの含水率は通常90%以上に達する。これらの水は、親水性の細胞外ポリマーが織りなす細孔に富んだ構造中に存在する。このような水を我々の研究グループは「バイオフィルム間隙水」と呼び、その諸性質を調べてきた。その結果、バイオフィルム間隙水には外部に比べ、数百倍以上の高濃度で栄養塩が濃縮されていることが明らかになってきた。なぜ、このような高濃度で栄養塩が濃縮されているのか、そのメカニズムを解明する過程で、我々の研究グループはバイオフィルム内外のイオンの行き来を支配する明瞭な規則性を見いだした。ここでは、その規則性を紹介し、バイオフィルム研究の今後について議論を深めたい。
バイオフィルムを構成する細胞外多糖の機能性
日本大学生物資源科学部
岩淵範之
バイオフィルムの主要骨格を構成する主な成分として細胞外多糖(EPS)がある。EPSは、微生物自身とそれらを取り巻く環境との相互作用を調節する重要な因子の一つとして考えられており、我々の研究グループは、その構造と機能との関係の理解を目指し、研究に取り組んで来た。その結果、いくつかの種のEPSの基本繰り返し構造が明らかになったことにより、様々な機能が考察できるようになってきた。ここでは、微生物の有機溶媒耐性や海洋のバイオレメデーションでの研究から考察されたEPSの部分構造とその機能との関係を紹介し、EPSあるいは細胞外ポリマーの有する化学構造や機能性の観点から、今後のバイオフィルム研究についての議論を深めたい。