6.地球の生い立ちと微生物 〜大切な仲間〜

微生物のはたらきがあったからこそ、今の美しい地球ができあがったのです。

46億年前に、太陽系の惑星として地球が誕生しました。酸素を豊富に含んだ大気と、豊かな青い海につつまれた美しい現在の地球は、地球が生まれた時からの姿ではありません。原始の地球には酸素がなく、今、私たちが目にする草花の生い茂る光景はありませんでした。海は灼熱のマグマで満ち、生物の棲めるような場所ではありませんでした。

<微生物の誕生>

その後、地球は徐々に冷やされ、およそ40億年前に生命が誕生したと考えられています。この生命は100℃以上の熱いところでも生きることができ、原始地球の中から出てくる水素や硫化水素を使って生育していた微生物だと考えられています。そうです、地球上に最初に誕生した生命は、微生物だったのです(写真1)。

<微生物の進化>

その後、長い年月をかけて微生物は進化し、およそ27億年前には、地球の環境を一変させる微生物が誕生しました。それは、光合成を行う微生物です。今の陸上の植物と同じように、光を使って二酸化炭素と水から有機物を作り出す生物(光合成生物)で、酸素を作り出します。この微生物の痕跡がストロマトライト化石として残っており、今でもオーストラリア西部のハメリンプールにはストロマトライトを形作る光合成微生物(シアノバクテリア)を見ることができます(写真2)。この微生物が酸素を作り続け、同時に大気中の二酸化炭素を微生物が取り込むことによって、地球の大気と気候は大きく変化しました。およそ10億年前に、動物や植物の祖先となる多細胞生物が生まれるまで、30億年もの長い時間、地球の主役は微生物だったのです。

<地球とヒトと微生物>

このような微生物の働きがあったからこそ、原始地球の環境や気候が大きく変化し、今の美しい地球ができあがったのです。
ヨーグルトや納豆などの美味しい食べ物も、微生物の働きがなければできません。汚れた環境をきれいにするのにも、微生物の力が必要です。たまには人を病気にしたりもしますが、微生物が私たちと一緒に、地球上のさまざまな場所に生きていて、地球のためにせっせと働いていることを知っていただけたでしょうか。

微生物は、普段は目には見えないので、なかなか親しみを持ちにくいかもしれません。みなさんには、微生物の存在や働きを忘れずにいていただけるとうれしいです。そして、地球の仲間の微生物のことを、お子様たちにも話していただけるとうれしいです。

 

【近藤 竜二(こんどう りゅうじ): 福井県立大学 海洋生物資源学部】

※この記事は、絵本『いいことおしえてあげる ~びせいぶつのひみつ~』(リバネス出版)に掲載の解説記事を、一部改変して転載しています。文章・画像の無断使用はご遠慮ください。