1.微生物ってなに?どんな生物?

微生物とは目にみえないくらい小さな生物のことです。細菌、菌類、ウイルス(※注)、微細藻類、原生動物などが含まれます。(※注:ウイルスは、自己複製ができず代謝を宿主に依存するので、生物とは言い切れません。生物学では「生物と非生物の間に位置する」と考えられていますが、ここでは、生態系を構成する一員としてウイルスも微生物の仲間としています。)

私たちが住んでいるこの地球。私たちはいろいろな生き物と一緒に生きています。小さな昆虫もいます。小型のアリは2ミリメートルほどしかありません。でも、ここで紹介する微生物はもっともっと小さな生き物です!

微生物とは微小な生物全体の総称で、特定の生物をさす言葉ではありません。肉眼で見ることができない、または肉眼で細かいところまで観察できない生物は、すべて微生物とよばれます。ウイルス(※上記注参照)、細菌、菌類(酵母、カビ、キノコなど)、微細藻類、原生動物(アメーバやゾウリムシなど)など、いろいろな微生物がいます。微生物には一つの細胞でできている生物(単細胞生物)も多いです。

<微生物の大きさ>

ほとんどが1ミリメートル以下です。では、カビやキノコは肉眼で見ることができるのに、なぜ微生物の仲間なのでしょうか。実は、私たちが見ているカビやキノコは、一個一個の細胞の集合です。カビの1細胞は数マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリメートルの1000 分の1)しかありません。顕微鏡を使うと、一個一個のカビの細胞を見ることができます。キノコも菌類の細胞が集まったもので、増殖するために作られた構造物です。

<微生物の形>

微生物の形はいろいろです。細菌には、丸いもの(球菌)や棒状のもの(桿菌)、また螺旋状になったもの(螺旋菌)などがあります(写真1)。
カビの形は細菌より複雑で、木の幹のような菌糸、その先に丸い胞子を作ります。どちらもカビの細胞です(写真2④写真2⑤)。
微細藻類は、ほとんどが水の中で生きています。珪藻や渦鞭毛藻がこの仲間です(写真3)。藻類は、植物のように光を使って栄養を作ります(光合成)。海で起こる「赤潮」の原因になることもあります。
原生動物とは、自分で動くことのできる微生物で、ミドリムシ、アメーバ、ゾウリムシなどがこの仲間です(写真4)。

【宮道 慎二(みやどう しんじ): 製品評価技術基盤機構】

※この記事は、絵本『いいことおしえてあげる ~びせいぶつのひみつ~』(リバネス出版)に掲載の解説記事を、一部改変して転載しています。文章・画像の無断使用はご遠慮ください。