子供の頃に感じた新しい発見についてくる "わくわく" とした楽しさ、
そこには「何これ?」という好奇心と探究心が駆け巡っていました。
まさに「知るは楽しみなり」です。
しかしながら、調査研究を仕事にしはじめると、「何これ?」と楽しんでいるわけにはいきません。新たな発見から知識を得て、人々に伝えることは、科学が果たすべき大切な社会的役割ですが、その一方、就職や予算獲得へ向けた処世術でもあります。
学会発表、論文作成、講演、講義など人々に向けて説明する場面は様々ですが、共通しているのは、難しい専門用語をふりかざして説明するだけでは人々の納得がえられないということです。
科学の成果を楽しく理解してもらうことは決して容易でなく、それは科学者の努力目標です。今回、この目標を視野において大会プログラムを立てました。
今年の横須賀2016大会では、市民講演会において「サイエンスはエンターテイメント」をテーマに、「海、大地、宇宙」を舞台にした微生物の物語を解説するプログラムを作りました。太古の海に君臨した微生物は大地へと進出し、惑星の生態系を作り上げました。その歴史は宇宙のどこかでも発生しているかもしれません、この壮大な話を楽しい記憶とともに知識にとどめてもらいたく、制作と演出に工夫をこらしています。アウトリーチ活動のお手本になるかもしれません、広い会場での開催です、学会員の方々もぜひ参加してください。
学会発表での一般講演はポスター発表だけになります。今回、ポスター賞を獲得した方々には、選ばれた栄誉と賞品だけでなく、ポスター賞受賞者による口演時間を大会最終日に用意しました。最終日に残る栄誉を賭けて、ポスター賞に応募してください。
大会には、次世代の研究者と技術者が参加します。土浦大会に引き続き高校生の研究発表セッションを開催します。また高校生と学部学生の聴講制度を設けました。高校生セッションでの議論、また聴講の方々から質問を受けた際は、専門用語ではなく、平易な言葉で解説してください。これは努力目標です。
いつもとは勝手がちがう大会になりますが、最終日まで科学を楽しんでもらえるようにプログラムを準備します。
横須賀2016、みなさまの参加をお待ちしてます。
日本微生物生態学会第31回大会 〜横須賀2016〜
大会委員会長 山本 啓之(海洋研究開発機構)