P16-26 : 低温菌Shewanella livingstonensis Ac10の増殖向上に関する試み
Posted On 20 10月 2014
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1広島大・院・先端物質科学・分子生命機能科学
【目的】Shewanella livingstonensis Ac10は南極海水より単離された低温菌であり、18℃を至適生育温度とする。これまでに我々はこの低温でしか生育できない菌を利用して中温菌の酵素を発現させ、これを加熱して宿主(低温菌)の代謝機能を抑えることで副産物を生成せず効率的に酵素触媒反応を行えることを示している(Tajima et al., 2013)。しかし、本菌の増殖は大腸菌等の培養時間(12時間程度)に比べ2から3日と遅く、その収量も低いことからこれらの改善が本触媒の工業化に求められる。そこで、本研究では培地と培養条件を検討することによりAc10株の細胞増殖の改善を行うこととした。 【方法及び結果】いずれの培養も200 mL容のバッフル付フラスコを用い、前培養液をLB培地に1%接種後、120 rpmで振盪培養を行った。まず、培地液量を10~100 mLに変更して増殖を比較したところ、50 mLが最も高い収量と速度を示した。そこで次にクエン酸鉄、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウムをそれぞれ添加し比較した。その結果、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、クエン酸鉄において培養液濁度の上昇が確認された。さらに細胞数を確認したところ、クエン酸鉄を添加した系において顕著な増加がみられた。その一方でこれらを主要成分として含む海洋微生物用のMarine mediumでは大幅な向上は見られなかった。その他金属を含め、最適な添加量の検討を進めている。
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