P15-11 : 高等シロアリ腸内に共生する優占種細菌3種のシングル・セルゲノム解析
Posted On 20 10月 2014
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1理研CSRS・BMEP, 2東工大・院・生命理工, 3静大・院・工, 4理研BRC・JCM
シロアリの腸内に共生する微生物の多くが難培養性であるため、メタゲノム解析等の培養を介さない手法によって解析が行われている。このような解析から腸内微生物群の全体像は解明できるが、得られた遺伝子がどの微生物由来であるのかを明らかにすることはできない。本研究では、様々な微生物が共生するシロアリの腸液から1細胞毎に細菌を単離し、ゲノム解析を行うことにより、個々の細菌種の腸内における役割を解明することを目的とした。
蛍光標識試薬を用いて生きた細菌を染色後、フローサイトメーターによって1細胞毎に分離し、Phi29 DNAポリメラーゼで全ゲノムを増幅した。この産物を鋳型に16S rRNA遺伝子をPCRにより増幅し、配列を決定した。この波形データをPhredスコアで評価することにより、1細胞からゲノム増幅が行われた可能性の高いサンプルを選抜した。その中から、腸内で優占種である細菌3種を選択し、MiSeqを用いてゲノム解析を行った。
これまでにタカサゴシロアリの腸内細菌1細胞からゲノム増幅された可能性が高いサンプルを244個取得した。このゲノム増幅サンプルの中から腸内で優占種であるTreponema属, Fibrobacters門, TG3門の細菌3種を選択しゲノム解析を行った。その結果、カバー率がそれぞれ84, 77, 80%のゲノム配列の取得に成功した。現在アノテーションを行い、細菌種毎の役割の解明を試みている。また、1細胞ゲノム解析データを使用することにより、これまでにメタゲノム解析によって蓄積されている遺伝子の由来を初めて決定することができ、腸内微生物群の解明に大きく寄与できると考える。
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