P15-06 : プラスミドpCAR1 上の遺伝子の転写開始点とプロモーター領域の網羅的解析
Posted On 20 10月 2014
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1東大 ・生物生産工学研究セ, 2富山県大・生物工学研究セ, 3東北大・院・生命科学
プラスミドが宿主依存的転写プロファイルを示すことが、過去に行われた3種のPseudomonas属細菌 (P. putida KT2440株、P. aeruginosa PAO1株、P. fluorescens Pf0-1株) を宿主としたカルバゾール分解プラスミドpCAR1のトランスクリプトーム比較により示唆されている。これはプラスミド上の遺伝子がプラスミド由来因子のみならず宿主染色体由来因子による制御も受けるためと考えられる。このような現象を理解することは、宿主に与えるアドバンテージとそれに依存するプラスミドの伝播を理解する上で重要である。
上記タイリングアレイでは全74個の転写単位中17個が宿主毎に異なる転写プロファイルを示していた。今回、アレイ時(対数期から定常期の4経時点で2時間ごとにサンプリング)より細かく経時点を振り、各転写単位に対して定量RT-PCRによる転写プロファイルの取得を行った。また、プロモーター領域の詳細な情報を得る為に次世代シーケンサーを用いたdRNA-seq法(5’末端に3リン酸をもったmRNAを濃縮することで転写開始点を決定する)によりpCAR1上遺伝子の転写開始点の網羅的同定を行った。結果として上記17個の転写単位中、既に実験的に転写開始点が決定されていた4個に加え、新たに5個の転写開始点が同定された。その一例として#9.1(ファージのリプレッサーに相同な配列が見出された転写単位)では転写開始点の上流配列からσ70依存的に転写が開始すると示唆され、当該領域はタイリングアレイ・定量RT-PCR共にKT2440株特異的に転写されることが確認された。
keywords:IncP-7,pCAR1,Pseudomonas,plasmid,RNA-seq