PO-231:デハロコッコイデス属細菌の増殖促進についての研究
製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター
ドライクリーニングや製造業などで幅広く利用されてきた塩素化エチレン類は世界中で環境汚染が深刻化しており、多くの汚染サイトにおいて毒性が高い中間体(cis-ジクロロエチレン(cis-DCE)や塩化ビニル(VC))の蓄積が大きな問題となっている。cis-DCEやVCをエチレンへと脱塩素出来る唯一の細菌がDehalococcoidesであり塩素化エチレン類の浄化に必要欠くべからざる細菌であるが、分離困難であるため国内事業者がBioaugmentationに利用できる菌株が存在していないのが現状である。
我々は国内で初めてDehalococcoides属細菌の純粋分離に成功し、これらの菌株をBioaugmentationに利用するための検討を行ってきた。Dehalococcoides属細菌は増殖が非常に遅く安定的に培養することが困難であるが、Sulfurospirillum属細菌が増殖を劇的に促進することを見いだし(特開2014-108061)、現在、この共培養技術をコアとした大量培養法の開発を進めているところである。
これまでの培養実験から、Dehalococcoides属細菌の増殖促進は異種微生物間の「細胞外電子伝達」によってなされることが示唆されている。本発表ではこれまでの解析結果について報告する。
keywords:Dehalococcoides(デハロコッコイデス),電気共生,細胞外電子伝達,Bioaugmentation(バイオオーグメンテーション)