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P26-9 : バイオファウリングを防止する複合酵素固定化型ろ過膜の開発:固定化酵素の効果
Posted On 20 10月 2014
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1東京農工大院, 2, 3, ,
水処理における膜分離技術の技術的課題は、ろ過膜上で発生するバイオフィルム由来の目詰まり(バイオファウリング)である。このバイオファウリングは、Quorum Sensing (QS)が引き金になり発生することが報告されている。バイオファウリング抑制の新たな技術として、本研究ではろ過膜表面にQSのシグナル物質であるAHLsの分解酵素Acylase Iを、ろ過膜孔内に細胞外ポリマー(EPS)の主成分である多糖の分解酵素α-Glucosidaseを固定化した複合酵素固定化型ろ過膜の開発とバイオファウリング抑制能の評価を行った。ポリエチレン製の中空糸状精密ろ過膜(PE膜)の表面に放射線グラフト重合法を用いてグラフト鎖を形成させ、透水性向上のためにN,N’-ジメチル-γ-アミノブチル酸を官能基として導入した。α-Glucosidase溶液を膜の内側から供給して膜孔内に吸着させ、Acylase I溶液に膜を浸漬させて膜表面に吸着させた。その後、トランスグルタミナーゼにて酵素を架橋させた。AHLによりQSを行うA. tumefaciensを植種したリアクター内に中空糸膜を設置し、ポンプによって透水させた。膜間差圧、フラックスを測定し、31日間ろ過運転を行った。その結果、複合酵素固定化膜の膜間差圧当たりのフラックスはPE膜に比べ、約2.5倍高い値を示した(0.025 vs. 0.010 m3/(m2×d×kPa))。一方、複合酵素固定化ろ過膜の酵素を失活させたろ過膜ではフラックスの減少が観察された。これより、ろ過膜に固定化された酵素活性によるバイオファウリングの抑制が示された。
keywords:バイオフィルム,ろ過膜,酵素,,