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P25-47 : 水耕液中における原生動物と外来微生物の動態
Posted On 20 10月 2014
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1佐賀大・農, 2, 3, ,
【背景と目的】 近年,農産物の安全性志向などから,野菜の水耕栽培が増加している.特に肥料の節減や排水による環境汚染防止の観点から,循環型水耕栽培が増えつつある.しかし,水耕液中にヒトや植物の病原菌が混入すると,短時間で栽培装置全体を汚染する可能性がある.先に演者らは,水耕液中の原生動物が,外来微生物を捕食することを明らかにした.そこで本研究では,水耕液中で種々の細菌の生存に及ぼす原生動物の影響を検討した.
【方法】 グロースチェンバーでレタスを栽培した水耕液をフィルターろ過した除菌区と,ろ過しない未除菌区を設定した.これに非病原性Escherichia coli KM1,水耕液由来Aeromonas hydrophila およびE. coli O157 CR3を約106 cells/mLとなるようにそれぞれ接種し,30℃で5日間静置培養した.希釈平板法で培養前後の接種菌数(コリフォームアガー),一般細菌数を標準寒天(SA)培地で測定した.
【結果および考察】 水耕液に接種した3株の菌数は,除菌区では5日間ほぼ一定であったが,未除菌区では101~105桁減少した.特に,A. hydrophila で減少がより顕著であった.一般細菌数は,培養前後において106 CFU/mLでほとんど変化しておらず,原生動物が常在菌よりも外来菌を主に捕食すること,すなわち捕食に菌種選択性があることを示した.
これらの結果は,水耕液中の原生動物が外来微生物を主に捕食しており,水耕液中の外来微生物抑制因子として食中毒リスク低減に寄与する可能性を示唆する.
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