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P25-42 : CRISPRを保有するバクテリオファージの系統学的普遍性
Posted On 20 10月 2014
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1東京医科歯科大・院医歯学総合研究科・歯周病学分野, 2京都大・院医・微生物感染症学分野, 3, ,
細菌においてclustered regularly interspaced short palindromic repeat (CRISPR) は、外来因子に対する獲得免疫機能を持った反復配列である。外来因子であるバクテリオファージが細菌ゲノム内に組み込まれたプロファージ領域にCRISPRが入り込んだものが、Clostridium difficileなどの限られた細菌種やviromeにおいて発見されているが、その生物学的意義は不明である。本研究では、入手可能な細菌・ウイルスゲノムにおける同様の領域の同定を通じて、CRISPRを保有するプロファージに系統学的普遍性があるかの解明を試みた。GenBankデータベース内の原核生物ゲノム、およびHuman Microbiome ProjectとMetaHITによるヒト細菌叢メタゲノムの塩基配列を取得し、プロファージおよびCRISPRを同定したところ、古細菌ゲノム上のものを含む26個のプロファージ内に43個のCRISPRが存在していた。CRISPRを保有するプロファージは、唾液や腸管のウイルス塩基配列データベースにおいても検出された上、粒子形成性が確認されているファージ3種にも見いだされた。また、プロファージ上のCRISPRのスペーサー配列は、全て他のファージやプラスミドを免疫対象としており、宿主染色体やCRISPRを保有するファージ自身を対象とするものはなかった。以上より、CRISPRを保有するファージは、ファージの存在形態を問わず広く存在し、バクテリオファージがCRISPRを他のファージの定着抑制のために用いている可能性が示唆された。
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