P25-25 : 酵母マンナンによるウキクサ成長促進活性
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1北海道大・院環境科学院, 2東北大・院生命科学, 3JST-ALCA, 産総研・バイオマスリファイナリー研究センター,
我々は水生植物の根圏や葉状体表面に共生する微生物群を材料として、新しい植物—微生物間相互作用を探索している。今回、主要な微生物由来多糖類のひとつである酵母マンナンがコウキクサの成長を顕著に促進することを見いだしたので、報告する。 まず、植物用培地に酵母マンナンを加え、コウキクサを10日間生育させたところ、葉状体数、乾燥重量及びクロロフィル量の顕著な増加が認められた。その最適作用濃度は 200 mg/Lであり、成長量はおよそ2倍に増加した。さらに、培地中酵母マンナンを測定したところほとんど減少していなかったことから、アオウキクサに取り込まれることなく成長を促進することが示唆された。一方、植物由来のコンニャクマンナン(グルコマンナン)はクロロフィル増加活性を有していたが、成長促進活性は認められなかった。このことから、酵母マンナン特有のα結合と分枝構造が植物成長促進活性に重要であることが示唆された。微生物由来の多糖類が植物に作用し、成長を促進することは生物間相互作用の分野では新規性の高い発見である。現在、各種マンノース転移酵素欠損株 (och1 , mnn1 , mnn2 , mnn4 , mnn6 ) が生産する不完全型マンナンによる成長促進効果について調べている。植物成長促進活性に必要な酵母マンナンの基本構造を特定することで、地球生態系の共生分子機構の理解を深めると共に、遺伝子組み換えを用いない安全かつ省エネ型の植物栽培技術の開発に貢献できるのではないかと考えている。
keywords:マンナン,酵母,成長促進,,