P23-12 : 嫌気性共発酵による廃グリセリンと下水汚泥の資源化
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府立大学工業高等専門学校 総合工学システム学科 環境物質化学コース, 2大阪府立大学大学院 工学研究科 物質・化学系専攻 化学工学分野, 3, ,
【背景と目的】廃グリセリンは天然油脂をバイオディーゼル燃料(BDF)に加工する際に副生するが、触媒である強アルカリを含むなどの問題から有効な用途がなく、その処理が問題となっている。一方、下水汚泥は下水道の普及などに伴って増加しているが、そのほとんどは化石燃料を用いて焼却、埋め立て処分されている。そこで本研究では、廃グリセリン中のアルカリによって下水汚泥を可溶化するとともに、強アルカリ性下で増殖できる下水汚泥中の嫌気微生物にグリセリンを分解させ、両者を共に資源化することを試みた。
【方法と結果】堺市泉北下水処理場より採取した下水汚泥(含水率99.5 %)4 mlと廃グリセリン1 mlを容積20.6 mlのバイアルに加え、ヘッドスペースを窒素で置換したのち、310 Kで静置培養した。気相中の発酵ガス組成をガスクロマトグラフィーによって測定したところ、廃グリセリンの初期濃度が0.126 g/Lの場合メタン発酵のみが起こったが、初期濃度を増加させるとメタン発酵が停止するとともに水素発酵が起こり、初期濃度が5.04 g/Lの場合、最大1.4 mlの水素が発生した。また、この時の液相成分を測定したところ、有価物である1,3-プロパンジオールの生成が確認された。一方、下水汚泥の減容化率を測定したところ、廃グリセリンを加えない場合の20.0 %に対して、5.04 g/Lの廃グリセリンを加える事で28.4 %まで増加し、下水汚泥の減容化が進むことがわかった。以上の結果から、下水汚泥と廃グリセリンを共発酵させることで、下水汚泥の減容化と有価物生産を同時に行うことができる可能性が示唆された。
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