P21-8 : 富栄養化閉鎖性汽水佐鳴湖の硝化アーキア集積化への挑戦
Posted On 20 10月 2014
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1静岡大学 工学部 物質工学科, 2静岡大学大学院 工学研究科, 3横浜国立大学大学院 理工学部, ,
閉鎖性水域の富栄養化を軽減し水環境の健全性を維持する一環として、微生物による窒素循環プロセスをより効率化する事が求められる。そのため、窒素循環の律速段階と考えられる硝化プロセスに着目し、浜松市に位置する富栄養化閉鎖性汽水湖である佐鳴湖の硝化微生物の多様性解析と硝化活性の動力学的解析を実施した。その結果、硝化プロセスはアンモニア酸化アーキア(AOA)が主要な役割を担い、底泥表層で最も菌密度が高くこの数年間107~108 cells g-1 soilで維持され、かつ、機能的群集構造が安定している事、さらにアンモニアから亜硝酸への変換は約0.5 mMで阻害を受ける事、などが明らかとなった。そこで本研究では、この硝化アーキアの分離に向けた集積化を目的とした。
佐鳴湖上流部及び下流部底泥を接種源とし、上及び下流部の湖水におけるアンモニア濃度に沿って回文培養を実施した。担体としてポリウレタンスポンジを用い、継代培養時にはスポンジのみを新鮮な培地に移した。初代培養では上及び下流部由来の集積物におけるアンモニア酸化能力に差が見られたが、3代目では約2日間で硝化まで酸化した。しかし、AOAの菌密度の増加はほとんど観察されず、むしろアンモニア酸化バクテリア(AOB)の集積化が特異的プライマーを用いたPCRにより推定された。また、上及び下流部の塩濃度は約30倍の開きがあるため、AOAとAOBの棲み分けに塩濃度の影響は低いと判断された。現在、アルギン酸による底泥の直接埋包による固定化の最適化、及び、迅速かつ高感度のアンモニア電極を検討しつつ、AOAの集積化を図っている。
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