5th TKJ symposium 報告

Posted On 13 3月 2014
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本学会が韓国微生物学会(MSK)、台湾微生物生態学会(TSME)と共同で開催している国際微生物生態学シンポジウムは、日韓共同シンポから数えて5年目を迎え、The 5th Taiwan-Korea-Japan International Symposium on Microbial Ecology (TKJシンポ)として台湾国立中央大学(National Central University)を会場に2013年10月31日―11月2日の日程で開催されました。参加者総数は約200名、日本からの参加者は37名(そのうち学生会員は16名)が出席しました。招待講演者やそれぞれの国で学ぶ留学生を合わせると、参加者の国籍は他のアジア地域や欧米を含め12カ国にも及び、さらに国際色豊かになりました。

基調講演および各国が企画するセッションでの口頭発表が計21題、ポスター発表が95題と規模としてもほどほどでした。口頭発表の会場も一会場だったので、結果として広範な話題に触れる機会となり、ISMEのような大規模なシンポジウムとはまた違う充実感を味わうことができました。日本からは7題の口頭発表と26題のポスター発表がありました。この数は3国の共同シンポという点から考えるとよいバランスだと思います。発表をお引き受けいただいたシンポジストをはじめ、ご出席、ご発表いただいた皆様に心より感謝申し上げます。TKJシンポの概要については、TSMEからのレポートに詳しく述べられていますので、興味のある方は本学会ホームページをご覧ください(http://157.7.197.143/ja/wp-content/uploads/2013/12/2013_5th-TKJ-Symposium-Report_final.pdf)。

 Young scientists’ sessionでは’Microbe vs. Environment’という合言葉の下、日韓台の若手により7題もの発表が為され、会場には若手を中心として約70名が来場しました。聴衆からも、時間が足りないほどの活発な質疑が飛び交い、若手の研究に対する情熱は国境を超えるのだと感じました。またこのような雰囲気は前日の交流会でも見受けられ、これからの研究に対する展望を積極的に話し合っていました。その中で、より緊密な国際的な若手の交流を図ろうという意見があり、Facebookのグループを作成いたしました(Young Scientist Meeting and Party on Microbial Ecology:https://www.facebook.com/groups/664578583582278/)。若手研究者の方々には是非積極的にご参加いただきたいと思います。

今回新たな企画として、男女共同参画・ダイバーシティ推進WG(現委員会)提案により、女性研究者ミーティング(Woman scientist roundtable)が合わせて開催され、JSME、MSKから女性研究者の置かれている状況や問題について紹介されました。もともと女性研究者の比率が他の2国よりも高いTSMEからも高い関心が寄せられて充実した情報共有と議論の場になり、次回以降のシンポでも継続的に開催されることになりました。アジア地域の女性研究者を取り巻く事情は他の地域とは異なることも多いと予想されるので、本共同シンポの発展にとって学術交流とは別の意義をもつ貴重なモデルケースとなる予感がします。

TSMEは2010年9月に設立された比較的若い学会で、会長の劉 秀美(Shiu-Mei Liu)先生、実行委員長の黄 雪莉(Shir-Ly Huang)先生を中心に、多くの会員がシンポジウムの成功に向けて惜しみない情熱で運営にあたっておられたのが、大変印象的でした。シンポジウムはもちろんのこと、レセプションや陽明山国家公園、北投温泉地区のエコツアーに至るまで細かな配慮が行き届いており、台湾が持つ歴史を思い起こさせるアジアンテイストを湛えた豊かな国際感覚に触れ、国際シンポの成功の秘訣を教わったような気がします。「お・も・て・な・し」の心は必ずしも日本の専売特許ではないことを実感しました。

研究レベルの高さも当初の先入観を大きく裏切るものでした。台湾でも韓国でも、欧米との国際共同研究が活発に進んでおり、研究交流についても両国から学ぶ点が多々あると感じました。欧米では、Symposium, Workshopが頻繁に開催され、研究者らが知り合う機会が多いように思います。アジアのコミュニティの情報交換の場、欧米の最先端の研究の情報も間接的に学べる場、そして気軽に(?)国際感覚を身につける場として本シンポがますます発展することを期待しています。

次回のシンポジウムは、ISME-15のプレセッションとして、2014年8月23日(土)-24日(日)の日程でソウル、ISME-15と同じ会場で開催されます。ISME-15の参加者も自由に参加できるよう準備を進めており、3学会のプレゼンスを示す絶好の機会ではないかと思います。ISME-15とは一味違う国際交流、情報交換の場になると思いますので、ISME-15に出席予定の方はもちろん、そうでない方も是非ソウルにお越しください。情報は学会ホームページで随時更新予定ですが、KJTシンポに対するお問い合わせやご提案などありましたら、シンポジウム運営委員(murase@agr.nagoya-u.ac.jp)までご連絡ください。

IMG_3148-2_edited-2村瀬 潤・福島俊一

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